犬の心臓病な中でも一番多いのが僧帽弁閉鎖不全症で、MRともいわれています。
実は愛犬のまろんもこの病気になってしまいました。
はい…ステージはB1で症状は全くなくホントに元気そのものですが、いつ悪化するか分からない怖い疾患です。
この記事では僧帽弁閉鎖不全症の原因・ステージと症状を詳しくお伝えしていきます。
犬の僧帽弁閉鎖不全症(MR)とは
画像のように心臓は、右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋に分かれています。
僧帽弁閉鎖不全症とは、左心房から左心室へ血液が流れるときに通過する弁(僧帽弁)に異常がおこることで閉鎖機能が悪くなり、左心室から左心房へ血液が逆流してしまう疾患です。
ところが僧帽弁に何らかの異常が起こり、僧帽弁がうまく閉じなくなることで、左心房から左心室へと送られ通常逆流することがない血液が、左心房→左心室⇒左心房へ逆流してしまいます。
血液が逆流してしまうと、本来全身に送られるはずの血液の量が減り、必要な血液を送り出せなくなってしまい、その結果心臓は大きくなり、送り出せる血液の量を増やそうとします。
このように代償機能が働くので、心拡大があっても初期では症状が全く見られない場合も多く、早期発見が難しい疾患でもあります。
明らかな症状がでれば、代償機能でさえフォローできないほど重症化している場合も少なくありません。そうなならないためにも、
定期的な健康診断を行うことがとても大切です。
僧帽弁閉鎖不全症のステージ初期のB1・B2ではほとんど症状は見られませんが、ステージが進むごとにあらわれる症状もひどくなり、心臓への負担も増えていきます。
さらに心臓へ負担がかかってしまうと、肺に水分がたまってしまう肺水腫を起こしてしまう危険性があります。
肺水腫は1度発症してしまうと余命は8カ月ともいわれていますが、薬物治療や飼い主さんのさまざまな努力で、実際はそれ以上生きられたワンちゃんも多くいるそうです。現在はそれが、心の支えになっています。
せめて愛犬が僧帽弁閉鎖不全症だと初期にわかって本当によかったです。
無駄だという方もいるかと思いますが、初期だからこそできる事、治るとまでは言いませんが、現状のステージB1から悪化しない可能性もあります。
僧帽弁閉鎖不全症の原因
僧帽弁自体が分厚くなったりもろくなったり変性することで閉鎖不全を起こす場合と、僧帽弁を支えている筋の腱索(けんさく)が伸びてしまったり切れたりして、僧帽弁の位置がずれてしまうことで閉鎖不全をおこす場合があります。
僧帽弁が変性する主な原因
僧帽弁がふやけて膨らむこと(粘液腫様変性)がおこり、閉鎖する際に弁の先端がキッチリ合わなくなることで隙間ができてしまいます。
僧帽弁が変性する主な理由
明確な理由は明らかにされていませんが、加齢や遺伝的な要因もあるようです。
僧帽弁閉鎖不全症の原因に歯周病!?
歯周病菌の中には、歯肉にある血管をとおして血管のなかに入り込み、血液の流れにのって体内を移動するものもあります。そして、最終的には心臓へたどり着くのです。
歯周病菌が僧帽弁にくっつけば菌が増殖し塊をつくり、もともとは薄い僧帽弁をボコボコした分厚い弁にしてしまい、正常に閉鎖することができなくなります。
歯周病菌が腱索にくっつけば腱索自体がもろくなり断裂してしまったり伸びてしまうことで、弁の開閉をコントロールできなくなってしまいます。
はい、昔から歯周病菌は万病のもととなるのは知っていたので、僧帽弁閉鎖不全症になるまえから口腔ケアはシッカリやっていました。
ガーゼやハブラシで歯の表面だけ磨いていただけでしたね…。
僧帽弁閉鎖不全症と分かって、口腔ケアの大切さを改めて認識し調べていくと、今までのやり方ではなんの意味もなかったんです( ;∀;)
ただ磨くだけでは意味がない!本当に正しい口腔ケアのやり方はこちらに。
僧帽弁閉鎖不全症のステージと症状
初期にはほとんど症状がなく少し疲れやすくなったり、寝ている時間が長くなったりする程度ですので、年のせいと見過ごされがちでもあります。
徐々に進行していくと、散歩に行きたがらなかったり、食欲の低下がみられるようになります。興奮したり運動した際に舌が紫がかるチアノーゼをおこしたり、咳などの症状が現れます。
さらに進行して重度になると、少し動いただけですぐに疲れてしまったり、ちょっとした刺激で咳が止まらなくなりチアノーゼをおこしたり失神したりしてしまいます。
ACVIM(アメリカ獣医内科学会)が、僧帽弁閉鎖不全症のステージを以下のように分類しています。
ステージA
状態 | 僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種。 |
治療 | 必要ない。定期的な検診で疾患の早期発見に努める。 |
症状 | なし。 |
ステージB1
状態 | 心雑音はあるが心拡大はなし。 |
治療 | 薬物治療は行わないが、体重管理や過度な運動の制限が必要。 |
症状 | なし。 |
ステージB2
状態 | 心雑音と心拡大がある。肺水腫の発症歴なし。 |
治療 | 強心薬・利尿剤を使用する場合もある。 |
症状 | ほぼなし。 |
ステージC
状態 | 心雑音と心拡大がある。肺水腫の発症歴あり。 |
治療 | 必要に応じACE阻害薬・強心薬・利尿剤・不整脈治療薬などを使用する。 |
症状 | 激しい咳・運動不耐性・失神・チアノーゼなど。 |
ステージD
状態 | 心雑音と心拡大がある。肺水腫の発症歴あり。あらゆる内科的治療で効果があらわれない末期。 |
治療 | ACE阻害薬・強心薬・利尿剤・カルシウム拮抗薬・血圧降圧薬など使用。 |
症状 | ステージCと同様。 |
僧帽弁閉鎖不全症の心雑音とは
心臓の雑音はLevine(レバイン)の心雑音強度の分類により6段階に分けられます。
Ⅰ度 | 非常にわずかで弱くかろうじて聴き取れる |
Ⅱ度 | わずかで弱いが容易に聴き取れる |
Ⅲ度 | 中等度に強い |
Ⅳ度 | 非常に強く大きな雑音でスリルがある |
Ⅴ度 | 非常に強く大きくスリルがあり聴診器を胸部に近づければ聴き取れる |
Ⅵ度 | 非常に強く大きくスリルがあり聴診器を使用しなくても聴き取れる |
雑音の大きさや強さだけでステージや状態を知ることはできませんが、一つの目安として把握することはできると思います。
まろんが僧帽弁閉鎖不全症のステージB1と診断されてからは、聴診器で心音を毎日聴いていてます。
まろんはLevine分類でいうとⅠ~Ⅱで、たまにIIIになることもあります。
落ち着いてリラックスしているときはⅠ~Ⅱですが、興奮したり走ったりしてしまうとⅢになることが多いので、なるべく興奮しないように気を付けたりお散歩でもゆっくりのんびり行くように心がけています。
僧帽弁閉鎖不全症と肺水腫
冒頭でもお伝えしましたが、肺水腫になってしまうとそのさき長く生きられないワンちゃんもおおいのでいかに肺水腫を発症させないか、がとても重要になってきます。
肺水腫になってしまう過程と症状
心臓での血液の逆流が重度になると、左心房→肺静脈→肺の毛細血管・圧が上昇してしまい肺うっ血がおこります。
- 意気消沈
- 目がうつろになる
- 口を開けたまま息をする
- 呼吸困難
- 横になることができず座るか伏せた状態で苦しそうに呼吸をする
- 呼吸数が増える
- 下や歯茎が白っぽいまたは紫っぽい
肺水腫をおこしてしまったチワワちゃんの動画です。とても苦しそうで胸が痛みます。
心臓が原因でおこる肺水腫は、すぐに対処しないと命にかかわるのでもしもの時に備えて夜間対応の動物病院を探しておきましょう。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状・ステージまとめ
ステージB1では運動制限や食事制限、薬も必要ないですが油断しないように気を付けています。実際に、ステージB1の無症状だったのに突然僧帽弁を支えている腱索が切れてしまい、急に肺水腫をおこしてしまったワンちゃんもいます。
階段の上り下りや高い場所からのジャンプなども心臓に負担になります。
愛犬まろんはステージB1ですがこれ以上悪化させないために、
- 急激な温度変化
- 高温多湿
- 過度な運動
- 高さのあるソファーなどからの飛び降り
- 塩分の多いおやつや食事
上記を今のうちから意識し気を付けています。食事管理にも気を付けています。今できることはすべてやっています。そのおかげか現在も進行はなく、症状もありません。心臓病だと診断されてから現在まで約7カ月が経ちましたが、このまま進行せず、苦しまずにいてくれることを願うばかりです。
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